黒松の剪定
2011/9/22 一部修正
2011/9/12 「芽切り」を追記
当園では黒松の剪定は年2回を基本としています。木にもそれぞれ個性があって、葉の長さや固さ、密度、芽の出方、枝の具合などが少しずつ違っています。それを見極めながら仕立てていくために、年2回を基本として、3回、4回と手を入れる木もあれば、1回だけにして休ませてあげる木もあったりと、その木にとってベストと思われる剪定を心がけています。
まずは黒松について
黒松ってどんな樹木?
双幹の黒松 黒松(クロマツ)はマツ科マツ属(詳しい分類はこちらをごらんください。)の樹木で、赤松とともに日本を代表する二葉松の樹木です。二葉松とは短枝に葉を2枚つける種類の松ということです。(これに対し、ダイオウショウは3枚、五葉松は5枚の葉を短枝につけます。)樹勢は旺盛で海岸などの痩せ地でも元気に成育します。肥料はそれほど必要とせず、逆に肥料が多いと枝が間延びしたような樹形になってしまいます。陽樹であるため、日当たりのいい場所に植える必要があります。
黒松や赤松は頂芽優勢であるため、先端の葉がある部分からしか新しい芽を付けません。したがって枝を葉のない部分で切ってしまうと、もうその枝から新しい芽を出すことはできません。
黒松剪定の基本
黒松の剪定は、基本的には大きく分けて2つあります。1つは芽切り(みどり摘み、芽摘み)で5月下旬から7月上旬に行います。もう1つはもみ上げ(葉むしり)といい、11月から2月頃までに行います。当園ではそれに加えて4月から5月に新芽の間引き作業を行っていますが、ここでは剪定の基本である芽切りともみ上げについて紹介します。
・芽切り(みどり摘み、芽摘み)
当園がある長崎をはじめ九州地方では、黒松の新芽を途中から摘む(いわゆるみどり摘み)ではなく、新芽の根元から切る芽切り作業を行うケースが多いようです。同時に残すべき芽数も調整することで、全体にはが短く、見栄えのいい樹形をつくることができます。新芽の間引き作業を行う時期は、4〜5月頃、芽切りと同時に行う場合は、6月上旬〜7月上旬に行うことになります。
新芽の間引き
当園では、新芽の間引き作業を4月から5月頃に行います。基本的な考え方は、勢いのある部分は芽数を多く残し、勢いのない内枝や下枝では、芽を1本だけにします。このようにしてなるべく全体の勢いが揃うようにすることで、枝毎にばらつきの少ない樹形を目指します。間引いてはずすのは昨年の二番芽が分岐した部分で、前の年に芽切りをしてそこから2〜3つ(場所によっては4つ、5つ)に分岐しているところです。本来の芽数からすると、これを1つにすると昨年と同じ芽数になりますが、勢いの強いところは複数残し、弱いところは1つにします。複数の芽を残してしまう分、不要な枝や立枝を抜いたりすることで、全体の芽数が大幅に増えないようにします。
間引き前間引き後
芽切り