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更新日 2017-10-25 | 作成日 2007-09-13

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黒松の剪定




2011/9/22 一部修正
2011/9/12 「芽切り」を追記

当園では黒松の剪定は年2回を基本としています。木にもそれぞれ個性があって、葉の長さや固さ、密度、芽の出方、枝の具合などが少しずつ違っています。それを見極めながら仕立てていくために、年2回を基本として、3回、4回と手を入れる木もあれば、1回だけにして休ませてあげる木もあったりと、その木にとってベストと思われる剪定を心がけています。


まずは黒松について

黒松ってどんな樹木?

kuromatsu1.JPG双幹の黒松 黒松(クロマツ)はマツ科マツ属(詳しい分類はLinkIconこちらをごらんください。)の樹木で、赤松とともに日本を代表する二葉松の樹木です。二葉松とは短枝に葉を2枚つける種類の松ということです。(これに対し、ダイオウショウは3枚、五葉松は5枚の葉を短枝につけます。)樹勢は旺盛で海岸などの痩せ地でも元気に成育します。肥料はそれほど必要とせず、逆に肥料が多いと枝が間延びしたような樹形になってしまいます。陽樹であるため、日当たりのいい場所に植える必要があります。
黒松や赤松は頂芽優勢であるため、先端の葉がある部分からしか新しい芽を付けません。したがって枝を葉のない部分で切ってしまうと、もうその枝から新しい芽を出すことはできません。


黒松剪定の基本

 黒松の剪定は、基本的には大きく分けて2つあります。1つは芽切り(みどり摘み、芽摘み)で5月下旬から7月上旬に行います。もう1つはもみ上げ(葉むしり)といい、11月から2月頃までに行います。当園ではそれに加えて4月から5月に新芽の間引き作業を行っていますが、ここでは剪定の基本である芽切りともみ上げについて紹介します。

・芽切り(みどり摘み、芽摘み)

 当園がある長崎をはじめ九州地方では、黒松の新芽を途中から摘む(いわゆるみどり摘み)ではなく、新芽の根元から切る芽切り作業を行うケースが多いようです。同時に残すべき芽数も調整することで、全体にはが短く、見栄えのいい樹形をつくることができます。新芽の間引き作業を行う時期は、4〜5月頃、芽切りと同時に行う場合は、6月上旬〜7月上旬に行うことになります。

新芽の間引き

 当園では、新芽の間引き作業を4月から5月頃に行います。基本的な考え方は、勢いのある部分は芽数を多く残し、勢いのない内枝や下枝では、芽を1本だけにします。このようにしてなるべく全体の勢いが揃うようにすることで、枝毎にばらつきの少ない樹形を目指します。間引いてはずすのは昨年の二番芽が分岐した部分で、前の年に芽切りをしてそこから2〜3つ(場所によっては4つ、5つ)に分岐しているところです。本来の芽数からすると、これを1つにすると昨年と同じ芽数になりますが、勢いの強いところは複数残し、弱いところは1つにします。複数の芽を残してしまう分、不要な枝や立枝を抜いたりすることで、全体の芽数が大幅に増えないようにします。
DSC_0383.jpg間引き前DSC_0392.jpg間引き後


芽切り

DSC_0121.jpg芽切り後 芽切りは6月上旬から7月上旬にかけて行います。新芽を間引いていない木は、この時に同時に行います。基本的には老木や勢いの弱い木は早い時期に行い、若木や勢いの強い木は遅い時期に行います。また、特に樹勢が弱い木は芽切りを行わないで休ませたりすることもあります。
 芽切りを行うとその周りから2〜5つ位の二番芽が萌芽してきます。老木等を遅い時期に行うと萌芽力が弱く、全体的に葉が極端に短くなりすぎたりします。逆に若木等で早い時期に行うと葉が長く、勢いのある枝と弱い枝で極端な差が出るなどして、全体の樹形のバランスが崩れやすくなります。したがって勢いの弱い木から順番に芽切りを行います。全体の芽切りを一度に行ってもかまいませんが、樹勢が強いものは枝毎の勢いを考えて、内枝や下枝などの勢いの弱い枝から芽切りを行い、1週間ほどあけてから強い枝の芽切りを行うようにすると、全体の枝のバランスが整ってきます。
 芽切りは、通常芽切り鋏を使用して行います。新芽の根元からなるべく芽に直角方向に切るようにします。
DSC_0114.jpg芽切り前DSC_0127.jpg芽切り後




・もみ上げ(葉むしり)

 もみ上げ(葉むしり)とは、11月〜2月にかけて行う作業で、多くは12月末までに終わらせて、美しい姿で正月を迎えたいものです。当園ではだいたい11月〜12月中頃までで行っています。この葉むしりの基本は、当年葉を残し、前の年の古葉を手でむしることです。黒松は手を入れないでおくと大体2年くらい葉がついていますが、1年経つと葉が黄色くなってきて見苦しくなってきます。そこで樹形が整った松は毎年きちんと行ったほうがいいでしょう。ただし、樹勢が衰えているものや幹を太くしたいなどの場合では、葉むしりをせず、剪定整枝だけに留めておくことが大切です。また同じ木でも日当たりのいい枝と違い、内枝など弱い枝では、全ての古葉をむしるのではなく、少し古葉を残しておくと翌春に芽がよくあがります。
DSC_0049.JPG葉むしり前DSC_0045.JPG葉むしり後DSC_0047.JPG葉むしり前DSC_0012.JPG葉むしり後


 上の写真は葉むしり前と後の黒松全体の様子です。全体的にすっきりして古葉を取り除いたせいか葉色もよくなっているのがわかります。
葉むしり前葉むしり前葉むしり後葉むしり後葉むしり前葉むしり前葉むしり後葉むしり後


 枝の葉むしり前後の様子です。将来の枝の形を想定して剪定し、古葉を取り除いていることがわかります。このように

DSC_0021.JPG作業風景DSC_0023.JPG


 当園ではこのように脚立を立てて作業しています。